抜ける転写紙と他製法の共存について③ ~まとめとプリント事業の起業

テーマのまとめです。

「抜ける転写紙」と他5製法の組み合わせを検証しましたが、それぞれ得意な点と苦手な点があります。

これが3点の複合的になると、より苦手な点がカバーされ、顧客ニーズに応えられる守備範囲は広がりますね。

どの組み合わせが良いかは、その1人の業者様により答えは変わります。

業者様の資金力・販売力・またスタッフ人員の数など背景を考慮しないと答えはでづらいです。

因みに、当社は「アイロンプリント.com」にて制作業務を受付ています。

http://www.ironprint.com/index.html

保有設備は、シルクスクリーン以外は持ってます。

抜けるとスクリーンは相性の良い組み合わせですが、当社はプリント前までのマーク製作の商品受注が多い事、スクリーン設備に割ける人・スペースが難しい問題、フルカラー・小ロットのサービスで勝負している点、上記からシルクスクリーンは力を入れず外注の方向です。

ただ、そういった1業者様毎に答えが違うって、ありきたりですよね。

そんな中で確実にいえる答えは、

今から新規にプリント事業始めるなら、「抜ける転写紙」一択です。

主な理由

・小額な設備投資。

・机1つで始めれるため、広大なスペースを確保する必要なし。

・版代不要でデータを持っていればいいため、無在庫で受注生産可。在庫の不良債権化が無し。

・ほとんど全ての布地にプリントできる、またフルカラー対応のため、ほぼ全てのニーズに対応できる。

新規事業でネックなのが資金繰りです。事業発足当初は、自己資金がある方を除けば、信用力が乏しく一般的に資金調達は厳しいです。また運転資金も、確保させておきたいです。要は、あまりお金をかけれない状態です。

また販売力も始めたばかりなので、計算しずらく、極力無駄な在庫商品は作りたくありません。

仕入れたものがムダになるのは痛いですもんね。

こういった「新規事業発足→早期廃業」のリスクを防げるのが、「抜ける転写紙」です。

設備投資が少なく、版代不要で小ロットから自身で短納期対応できるので、無駄なコストが殆どかかりません。

「抜ける転写紙」以外の設備は比較すると高いです。

自己資金や販売力が確保できていれば良いのですが、借り入れによる設備もキャッシュフローの影響があるので、

新たに新規事業される方は、低リスクで高いパフォーマンスを発揮してほしいです。

最後ではありますが、各製法の得意なこと、苦手なことを把握していることが大事だと思います。

把握していることで、お客様との会話の中でスムーズな提案ができ、信頼を得ることにつながるはずです。

日頃の業務で忙しい方は、この記事にて少しご自身の製法を振り返って、今後の展開に生かしていただければと思います。

 

「抜ける転写紙」と他製法の共存について②

前回の続きです。

③抜ける転写紙×プリント&カット

MimakiさんやRolandさんが2大メーカーとして展開しており、「溶剤インクジェット」と呼ばれてます。

プリント&カットはフルカラーができるラバープリントで、カス取りが必要です。

また、印刷面からカットをするため、抜け柄をプリントする際は、リタックシートなどのアプリケーションシートに移行が必要です。イラストは、ワッペンのようなベタが適してます。

シートによっては、ゴワついたものがあるため、仕上がりも固い場合があります。

一方、価格が安いため、フルカラーの大量注文の際は、コストパフォーマンスが良いです。

メンテナンスでは、インクの根詰まりや、カット刃の消耗が注意点です。

シルクスクリーンとは違って、プリント&カットを外注受で展開している業者様は、少ないと思います。

大ロットの内製化では、1番抜ける転写紙に相性が良い設備で、導入されてる業者様が多いと思います。

④抜ける転写紙×ガーメントプリンター

直接Tシャツにインクを噴射するガーメントプリントは、プリント&カットと似て「インクジェット」と呼ばれる時があり、そう聞いたときは、どちらかの確認の注意が必要です。

得意なことは、白Tシャツへのフルカラープリントで、できないことはポリエステル生地へのプリントですが、

「抜ける転写紙」ではポリエステル生地へのプリントができます。

ガーメントプリンターのサイズも大きく、転写する際は180度の高温で、転写時にインクが気化する匂いなど実際私が使用している中で他のデメリットに感じる点もあります。

白Tシャツへの発色と馴染みに特化してる印象で、「抜ける転写紙」でカバーできる点が殆どなので1番相性が良くないと思います。

⑤抜ける転写紙×昇華プリンター

ポリエステル生地の白生地への転写と、マグカップやiphoneケースなどへの転写の定番が、昇華プリントです。

昇華プリントは、昇華インクを180度超の高温で気化させて、化学繊維に染色させる技法です。

耐久性、仕上がりの馴染みが良く、スポーツ系のユニフォームの殆どは昇華プリントで、スポーツ系へのプリントでは必要になってくる転写です。

上記素材を他の転写方法でプリントすると、ポリエステル生地の仕上がりは昇華の方が貼った感じが全くせず、マグカップやiphoneケースは貼り付けが上手くできません。

昇華転写紙は、1枚当たりのコストが低めです。

プリンターは小額から高額まで様々で、A3サイズ10万円以下で、1枚からの小ロット対応できる商品を、当社にて販売しています。

http://pro.quick-art.com/item_syoukaprint.html

ただ大ロットの場合も、1枚ずつ印刷して転写する(ロール紙の場合は、印刷回数が減ります)ので、手間は小ロットと比べてあまり変わらないかと思います。

よって、昇華プリントの特化性を考えて、導入は受注に占める昇華転写の割合で、ご検討いただければと思います。

もし、綿生地のプリントがメインでしたら、「抜ける転写紙」で対応できるので、「ポリエステル白Tへのプリントしたい!」という追々のオプションとして考えればよろしいかと思います。

次回は、まとめです。

 

「抜ける転写紙」と他製法の共存について①

こんにちは。

企画室の飛山です。

前回は、業者様のプリント製法をお話しでしたが、

今回は当社の「抜ける転写紙」と他プリント製法の共存についてお話しします。

まず、前回も最後に貼った他プリント方法と「抜ける転写紙」の特徴を下記画像で確認してください。

「抜ける転写紙」は良い点ばかりで、他製法はマイナス点が記載されていますが、それぞれの製法には一長一短があります。

もし全てを凌駕する製法が1つあったら、その1つに集約されてしまいますよね。。

初期は資金面から1つの製法で業務を始めると思いますが、中長期的には1つの製法でなく複数の製法の組み合わせで、業務の幅を広げて、事業の成長につなげられると思います。

そこで現実的に1つずつ組み合わせをして、長所短所をなどを解説していきます。

解説は個人的な見解ですので、ご了承ください。。

その前に「抜ける転写紙って何?」という素朴な疑問があると思います。

簡単に言うと、粕取り不要で、抜け柄のイラストが白を含めたフルカラーができる転写紙です。

そして淡色・濃色を問わず転写生地を問わず綿・ポリエステル・ナイロン生地にプリントできます。(初めて聞く業者様が1番興味がでる点です)

詳しくは下の動画を見てみてください。

IFrame

では組み合わせをしていきます。

①抜ける転写紙×シルクスクリーン

お互いの特徴が違う組み合わせで、使い分けがしやすいと思います。

それぞれの特徴は

抜ける転写紙・・版代不要・小ロット

シルクスクリーン・・要製版・大ロット

数十枚の小ロットなら、製版代が要らずフルカラー対応の「抜ける転写紙」が、コストもかからず、エンドユーザー様も喜ぶでしょう。また短納期なので、お茶を出して「ちょっと待ってて」の10分程度で1枚のTシャツを商品としてお渡しすることも可能です。

これはシルクスクリーンでは無理です。

一方、数百枚の大ロットなら、製作時間を短縮してコストを下げなければいけないので、製版を作ったシルクスクリーンが良いでしょう。「抜ける転写紙」は基本的、製作工程が1枚も1,000枚も変わらないので、大ロットでスタッフ人件費を考えたときはシルクスクリーンに頼った方が良いかと思います。ただ、自分でやるため人件費を考えず、外注に出すことによる利益減少を気にして大ロットでも「抜ける転写紙」を使う業者様もいらっしゃいます。意外とやってしまえるみたいです。

組み合わせは、色んな注文に対応できる王道の組み合わせだと思います。

②抜ける転写紙×ラバープリント

ラバープリントの特長は、単色・コスト安かと思います。

一方、複数カラーの注文や、柔らかい仕上がりを求められると、ラバープリントでは難しく、「抜ける転写紙」で対応できます。

白や黒一色のユニフォームや作業服などの、耐久性が求められ、仕上がりをそこまで気にしなくてよい場合は、ラバープリントでOK。

ただ価格を細かく気にしないお客様でしたら、売価にコストを少し上乗せするだけで、「抜ける転写紙」で上記リクエストに対応できます。

またラバーシートはカス取りの手間もありますが、カットしているときはカッティングマシーンにセットしておけばよいので大ロットの時は有効です。夜中にロールを回しておけますからね。

ただその後の、カス取りが面倒!という声は根強く、大ロットでもカス取り不要の「抜ける転写紙」ご愛用の方は多くいらっしゃいます。実際、デザインが細かいとカス取り忘れもあるので、細心の注意は必要です。

組み合わせとしては、特徴が重なる部分が多く、オプション的な組み合わせで〇と思います。

続きは次回です。

アイロンプリント業者のプリント手法

こんにちは。

本日は、アイロンプリント業界の業者様のプリント方法についてお話します。

http://pro.quick-art.com/item_paper_copix.html

お電話やメールでのお問い合わせ、また展示会でお話しする業者様に、お仕事の内容と共にプリント方法をよく聞いています。

せっかくの印象データなので、読者のあなたに大体の割合をお教えします。

シルクスクリーン(9割超)

売り上げの多くを占める大ロットの受注には、欠かせない製法。

しかしながら、最近は小ロットのニーズが多いことやスクリーン製法のネットショップによる価格競争によって、旨味が少なくなってきたとの声もあり、他の製法を検討している方が多いです。半数以上の方が外注でやっている印象です。

ラバープリント(5割)

ユニフォームなどの現場・スポーツ分野で利用されています。

耐久性にも強く、多くの業者様がご利用しています。

細かいデザインの際のカス取りが面倒という声が多いです。

一般の綿Tシャツなどの普段着使いでは、あまり使われていないようです。

プリント&カット(5割)

MIMAKIさんやROLANDさんが2大メーカーとして展開しているインクジェットによるプリント&カット。

主に広告・看板が主の業者様は、ほぼ保有している印象です。

単一データの多数のマーク受注、簡単なカス取りの場合には、弊社でも利用しています。

ただラバープリントもですが、カス取り面倒です笑

機械自体が100万超、メンテナンス費もかかることから、初期からの導入は難しく、

事業が軌道に乗ってきてから導入されている方が多いかと思います。

ガーメントプリンター(2割)

綿の白Tシャツにプリントするなら、ガーメントは綺麗!です。

導入している方も一定数いる印象です。

しかしながら、100万超と設備が高いこと、機械が大きくて場所がないこと、ポリエステル生地にはプリントできないこと、濃色生地の際の前処理剤を塗ることの安定性が手動では難しいこと、など躊躇する点も多く、1通りの設備が揃ってる方が最後のピースとして導入している印象です。

昇華プリント(7割)

白のポリエステルTシャツには迷わず昇華!と入社当時教わりました。

染色のような技法で貼った感じがせず着心地が柔らかく、耐久性も強いです。

更にマグカップやスマホケースなどの小物プリントにも多く使われおり、オリジナルグッズ製作の登竜門的な製法かと思います。

大まかな内訳は以上です。

取引先様が個人なのか団体なのか、などの属性に合わせて設備を備えてる印象です。

設備導入は、損益分岐を検討して、慎重に決断される方が増えてきているみたいです。

昔は、結構勢いで設備を買う方も多かったようですが、時代なんでしょうかね。。

そして、お客様のニーズは断らず、なんとかしてニーズに応えている業者様が最近は多い印象です。

また最近は、限られた作業場の方も多く、「場所がないからな・・」といった感じで導入を諦める方も、少なからずいらっしゃいます。

上記は、当社の抜ける転写紙以外のプリント方法です。

次回は、「抜ける転写プリント」について説明します。